リゾート会員権を法人で持つメリットとは?税務上の注意点や選び方を解説
「従業員に喜ばれる福利厚生を導入したい」
「取引先の接待や役員のワーケーションに使える施設を確保したい」
「法人名義でリゾート会員権を購入したいけれど、税務処理が心配」
このような悩みを抱えている企業にとって、リゾート会員権は有力な選択肢のひとつです。
福利厚生施設として従業員の満足度向上や離職防止に活用できるほか、取引先の接待、社内研修、役員のワーケーションなど、幅広い用途に利用できます。
一方で、法人名義で購入すれば、すべての費用を自由に経費計上できるわけではありません。
利用実態や社内ルールが曖昧なままだと、税務調査で役員や従業員の個人的な利用と判断され、経費として認められない可能性があります。
そのため、導入前に「誰が、どのような目的で、どのように利用するのか」を明確にし、適切な運用体制と経理処理を整えておくことが重要です。
本記事では、法人でリゾート会員権を保有するメリット・デメリットをはじめ、税務調査で指摘を受けにくくするための経費処理のポイント、自社の利用目的に合った施設の選び方までわかりやすく解説します。
福利厚生の充実や接待環境の整備を目的に、リゾート会員権の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
法人でリゾート会員権を持つ4つのメリット

法人でリゾート会員権を所有すると、会計・税務処理のしやすさや管理負担の軽減に加え、接待や社員研修、福利厚生など幅広い用途に活用できます。
ここでは、法人がリゾート会員権を持つ4つのメリットを紹介します。
自社保養所よりも維持管理の手間を抑えられる
取引先の接待や社員研修、ワーケーションに活用できる
福利厚生の充実によって採用や人材定着に役立つ
契約形態や利用目的に応じた会計・税務処理ができる
法人でリゾート会員権を所有する場合、自社の目的や方針に合わせて、運用方法を柔軟に選べます。
例えば、従業員の保養を目的に利用した費用は「福利厚生費」、取引先との親睦を目的に利用した費用は「接待交際費」として計上できます。
また、不動産の所有権を伴う会員権を選んだ場合は、建物部分の減価償却費を計上することも可能です。
このように、契約形態や実際の利用目的に応じて、適切な会計・税務処理を行えます。
自社保養所よりも維持管理の手間を抑えられる
自社で別荘や保養所を所有する場合と比べて、施設の維持管理にかかる手間や負担を抑えやすい点も、リゾート会員権のメリットです。
自社保養所を所有すると、固定資産税や修繕費などの費用に加え、清掃をはじめとする日常的な管理業務も発生します。
一方、リゾート会員権であれば、施設の管理業務は基本的に運営会社へ任せられます。
そのため、社内のリソースを大きく割くことなく、自社保養所に近い環境を従業員へ提供できます。
また、会員権の契約形態によっては、購入代金を会社の資産として計上できることも特徴です。
取引先の接待や社員研修、ワーケーションに活用できる
高級リゾートならではの非日常的な空間は、さまざまなビジネスシーンで活用できます。
洗練された施設で取引先をもてなすことで、落ち着いた雰囲気のなかでコミュニケーションを深めやすくなり、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
接待だけでなく、役員のワーケーションや経営陣の合宿、社員研修、チームミーティングなどにも利用できます。
普段とは異なる環境に身を置くことで、業務に集中しやすくなったり、新しいアイデアが生まれやすくなったりするため、社内の重要な業務を行う場所としても活用できます。
福利厚生の充実によって採用や人材定着に役立つ
福利厚生を充実させることは、優秀な人材の採用や定着につながる重要な取り組みです。
採用活動で「高級リゾートホテルを利用できる」と伝えられれば、求職者にとって利用価値の高い福利厚生としてアピールでき、競合他社との差別化にもつながります。
また、従業員が休暇や余暇を充実させられる環境を用意することで、会社に対する満足度や帰属意識が高まり、離職の防止にも役立つでしょう。
リゾート会員権を法人で経費処理する際の注意点

法人でリゾート会員権を購入する際、「税務調査で経費として認められず、追加の税負担が発生するのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。
ただし、正しい知識をもとに適切な運用を行えば、想定外の指摘や追徴課税を受けるリスクを抑えられます。
ここでは、リゾート会員権を法人で経費処理する際の注意点を解説します。
役員専用の利用実態があると給与として扱われる可能性がある
利用者・利用日・利用目的の記録を残しておく
利用目的によって交際費や福利厚生費などに分かれる
施設の宿泊費や飲食費などは、誰がどのような目的で利用したかに応じて、適切な勘定科目に分けて処理する必要があります。
例えば、同じ施設を利用した場合でも、取引先を招いたのであれば「接待交際費」、従業員の慰安旅行であれば「福利厚生費」として計上します。
接待交際費には経費として認められる金額に制限があるなど、勘定科目ごとに税務上の取り扱いが異なります。
そのため、利用目的を区別せず、すべての費用を一律に処理すると、税務調査で指摘を受ける可能性が高まります。
役員専用の利用実態があると給与として扱われる可能性がある
リゾート会員権を福利厚生として導入する場合は、一部の人に利用が限定されず、すべての従業員が実際に予約・利用できる状態にしておくことが大切です。
一部の役員だけが利用していると判断された場合、税務調査で「役員賞与」と認定され、経費が否認されたうえに、所得税が課される恐れがあります。
こうした事態を防ぐには、あらかじめすべての従業員を対象とした利用条件を定め、「福利厚生規程」として明文化しておくことが有効です。
福利厚生規程を作成することで、制度上、全社員が利用できる状態であることを示しやすくなります。
利用者・利用日・利用目的の記録を残しておく
税務調査で「経費として認められない」「役員への賞与にあたる」と指摘されるのを防ぐためには、施設の利用状況を記録しておく必要があります。
具体的には、「いつ利用したのか」「誰が利用したのか」「どのような目的で利用したのか」を、利用台帳や社内フォーマットにその都度記入するルールを設けておきましょう。
こうした記録を残しておけば、税務調査が行われた際にも、「業務上必要な費用であること」や「適正な福利厚生として利用されていること」を説明しやすくなります。
法人がリゾート会員権を購入する4つのデメリット

法人でリゾート会員権を購入する際は、初期費用や維持費がかかるほか、予約の取りにくさや売却の難しさなどにも注意が必要です。
ここでは、法人がリゾート会員権を購入する4つのデメリットを紹介します。
希望日に予約できない場合がある
売却や現金化までに時間がかかる
利用頻度が低いと費用対効果が悪くなる
まとまった初期費用と毎年の維持費がかかる
リゾート会員権を導入する際は、入会金や登録料など、数百万円単位のまとまった初期費用が必要になる場合があります。
さらに、従業員が施設を利用しなかった年でも、年会費や固定資産税などの固定費を支払い続けなければなりません。
会員権を保有している間は継続的に支出が発生するため、会社のキャッシュフローを圧迫する要因になる可能性があります。
希望日に予約できない場合がある
リゾート会員権を購入しても、利用したい日に必ず予約できるとは限りません。
ゴールデンウィークや年末年始などの繁忙期や週末は、ほかの会員からの予約も集中しやすく、希望日を確保できない場合があります。
その結果、「利用したいのに予約できない」「一部の従業員しか利用できていない」といった不満が生じると、福利厚生として十分に活用できなくなる恐れがあります。
売却や現金化までに時間がかかる
リゾート会員権を手放すことになっても、すぐに現金化しにくい点はデメリットのひとつです。
上場株式などとは異なり、活発な取引市場があるわけではありません。
また、買い手探しに加えて、入会審査や名義変更などの手続きにも時間や手間がかかります。
そのため、業績悪化などによって急に資金が必要になった場合でも、すぐに売却できるとは限りません。
実際に現金化するまで、数カ月かかるケースもあるので、注意が必要です。
利用頻度が低いと費用対効果が悪くなる
高額な費用をかけてリゾート会員権を導入しても、従業員に利用されなければ、固定費の負担だけが残ってしまいます。
例えば、制度に関する社内周知が不足していたり、予約手続きが複雑だったりすると、施設の利用率が下がり、費用対効果も悪くなります。
その結果、毎年の年会費が会社の負担となる一方で、本来の目的である従業員満足度の向上につながらない事態を招く可能性があります。
法人向けリゾート会員権を選ぶ4つのポイント

法人向けリゾート会員権を選ぶ際は、利用目的に合った契約形態や施設の使いやすさ、費用対効果、売却・退会条件まで総合的に比較することが大切です。
ここでは、法人向けリゾート会員権を選ぶ4つのポイントを紹介します。
全国の系列施設を相互利用できるか確認する
初期費用・維持費・利用回数から費用対効果を試算する
将来の売却や退会条件まで把握しておく
福利厚生目的に適した「無記名式」のプランを選ぶ
リゾート会員権を福利厚生として導入する場合は、一部の役員だけでなく、従業員全体が利用できる「無記名式」のプランを選ぶのが基本です。
リゾート会員権には、登録された本人だけが宿泊できる「記名式」もあります。
ただし、記名式を選ぶと、利用実態によっては役員専用とみなされ、税務上、役員賞与として扱われる可能性があります。
全国の系列施設を相互利用できるか確認する
利用できる施設が特定の1カ所に限られているのか、全国の系列ホテルを幅広く利用できるのかを確認しましょう。
従業員の居住地域や勤務地が分散している場合、利用できる施設が限られていると、一部の従業員に利用が偏る可能性があります。
全国展開しているブランドの相互利用システムがある会員権であれば、従業員それぞれの希望するエリアや旅行の目的に合わせやすくなります。
その結果、施設全体の利用率向上にもつながるでしょう。
初期費用・維持費・利用回数から費用対効果を試算する
リゾート会員権の導入コストが自社の利用状況に見合っているかを判断するため、事前に具体的な数字を用いてシミュレーションを行いましょう。
まずは、入会金などの「初期費用」と、毎年発生する年会費などの「維持費」を合算し、必要な総コストを把握します。
そのうえで、総コストを年間の想定利用回数で割り、1回あたりの利用単価を算出します。
一般のホテルに宿泊した場合の費用と比較することで、費用対効果を判断しやすくなるでしょう。
算出した利用単価は、会員権のランクや購入口数を決める際の基準にもなります。
将来の売却や退会条件まで把握しておく
リゾート会員権を選ぶ際は、将来的に売却する可能性を考慮することも大切です。
価値が大きく下がりにくい会員権かどうかを判断するため、仲介サイトなどで過去の相場推移を確認し、中古市場における売却のしやすさを調べておきましょう。
また、運営会社のIR情報や決算情報、これまでの運営実績を確認し、財務基盤が安定しているかを見極めることも重要です。
法人でリゾート会員権を購入するまでの3ステップ

法人でリゾート会員権を購入する際は、利用目的や予算を明確にしたうえで、複数社のサービス内容を比較し、会計・税務上の取り扱いも確認することが大切です。
ここでは、法人がリゾート会員権を購入するまでの3つのステップを紹介します。
STEP 2:複数社の料金・施設・契約条件を比較する
STEP 3:会計処理を税理士に確認してから契約する
STEP 1:利用目的と年間の利用人数・利用回数を決める
まずは、リゾート会員権を「誰が」「何のために」「どのくらい」利用するのかを明確にしましょう。
接待を主な目的とするのか、福利厚生を目的とするのかを整理したうえで、年間の想定利用人数や利用回数を具体的に算出します。
利用方針が曖昧なまま検討を進めると、自社のニーズに合わない会員権を選び、無駄な投資となる恐れがあります。
STEP 2:複数社の料金・施設・契約条件を比較する
自社の利用目的や条件が明確になったら、複数の運営会社を候補に挙げ、さまざまな面から比較しましょう。
1社だけで判断するのではなく、初期費用や年会費などの料金に加え、施設の利便性や質も比較することが大切です。
また、将来の退会条件や、お盆・年末年始などの繁忙期における予約の取りやすさなど、パンフレットだけではわかりにくい点も確認しておく必要があります。
営業担当者に繁忙期の利用状況を確認したり、会員規約の解約条項を詳しく読んだりしながら、費用と実際の使いやすさのバランスを慎重に見極めましょう。
STEP 3:会計処理を税理士に確認してから契約する
契約を結ぶ前に、顧問税理士などの専門家へ相談し、自社の利用方法で適切に会計・税務処理できるかを確認しましょう。
リゾート会員権の種類や利用実態によって、経費として認められる範囲や使用する勘定科目は異なります。
そのため、自己判断だけで契約を進めるのは避けることが大切です。
候補となる会員権の契約形態や想定している利用方法を税理士に共有し、税務上のリスクがないか、福利厚生費などとして適切に処理できるかを事前に確認してもらいましょう。

まとめ

今回は、法人でリゾート会員権を購入するメリットをはじめ、経費処理の注意点、会員権の選び方、購入までの流れについて解説しました。
法人によるリゾート会員権の導入は、福利厚生の充実による人材定着や、接待での活用を通じた取引先との信頼関係の構築など、企業の成長を後押しする取り組みのひとつです。
一方で、初期費用や維持費によってキャッシュフローに負担がかかる可能性もあります。
そのため、まずは自社の利用目的を明確にし、費用や使いやすさを比較しながら、適した会員権を慎重に見極めることが大切です。
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